数日後近所のスーパーで
夕食の買い物をしていると
こんにちは!と声が聞こえて、
振り返るとKが立っていました。

セレブなファッション雑誌から
そのまま飛び出してきたような
スタイリッシュなその姿は、
スーパーの店内であまりにも
浮いた存在感でした。

先日まともに話したこともないのに
泣き顔を見せてしまったのが気まずくて、
私は改めて先日のお礼を伝えて
その場から立ち去ろうと思いました。

「本当にそう思うなら何かお礼してくださいよ」

考えなかったわけじゃないけど
彼からの予想外な言葉に戸惑いました。

「お礼…したいけど何がいいかな?」

「じゃあランチ奢って⭐︎」

「えっ…からかってる?」

「え?!からかってないよ!
行きたい所があるんだけど、
男ひとりでは入りづらい店だから
一緒に行ってほしいなと思って」

仕事もプライベートも充実していて
至る場所で活躍している人気者の彼なら
一緒に行ってくれるひと沢山いるのに、
私を誘うなんてからかわれてるとしか
思えませんでした。

「じゃあ気が向いたらでいいんで
Lineだけ交換するのはだめですか⭐︎」

おねだり上手な彼のペースに流されて
言われるままLineを交換しました。

私は彼を疑いながらも
好奇心に駆られていたの。

すぐ隣で暮らしている人だけど、
顔を合わせれば世間話程度はしたけど、
別世界で生きている人だと思っていたけど、

でも同じようでいて
今までのものとは違う、
少しだけ距離の縮まった
その彼の笑顔が忘れられなくて、

奥さんの顔が脳裏に浮かびながらも、
ただ純粋に感謝する気持ちとは別の
何か違う感情も生まれていたのかなって
今になって振り返るとそう思います。

だってその日のことは
奥さんと夫には内緒にしていたから。